酒井先生(以下酒井) 眠りは自律神経(交感神経・副交感神経)と大きくかかわっています。交感神経と副交感神経がともに常にダイナミックに動いているのですが、そのバランスがとても重要なわけですね。
人間も動物も本質的に戦っていない時、リラックスした状態が普通ですから副交感神経優位のほうがいいわけですね。現代は交感神経が優位になってきていてこの状態が続くと(不安、緊張、怒りっぽい、キレる)結果としてうつになりやすいのです。身体では血流が悪くなり結果老廃物が溜まって肩こりしやすい。これは精神的に不利になりますね。
普通、眠るということはこの副交感神経が優位であるべきなのに、現代は生活様式の変化などで、夜になってもどちらかというと交感神経が優位になっているので、休む時間になっても眠れない人が多くなっているようなんです。クリニックにも多くの方が相談に見えます。
酒井 今の睡眠薬のほとんどが根本的な弱点を持っているんですね。それは、深い睡眠を増やさない、ということなのです。睡眠というのはそもそも四種類に分かれるのです。通常の睡眠のステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4と。
そしてこのステージ4が、一番深い睡眠なんです。さらに睡眠全体として見てみると、この深い睡眠が最も重要だと思われているのです。
酒井 つまり、そのステージ4――要するに一番深い睡眠と言ってもいいのですが、その睡眠の時間がどれくらいか、またそれを増やすというのが良い睡眠のコツなんです。ところが、あらゆる睡眠薬は、その時間を増やさないんですね。
だから、確かに誘眠剤を飲むと寝た気はするけれども、実際脳の疲れというところから見ると、深い睡眠の量が増えていません。主観的には眠れたとか眠れないとか感じるんですが、自然に熟睡したときの感覚とは違っていて睡眠の質そのものは全く良くなっていないのです。
例えば凄く睡眠時間の短いタレントさんなどは、ステージ1~2というのは減って、ステージ4が確保されているんですよね。だから、睡眠時間を短くしても、ステージ4がいかに重要か分かってくるのですが、このステージ4を増やせれば、それだけ波形の方も凄く穏やかになっていくんです。脳波的にも…。けれどそれを上手く増やす薬、安全な薬というのは見つかっていないのです。
酒井 それは、ほとんどの誘眠剤は耐性が出来てしまうからなんです。だから、ずっと飲み続けているうちに必ず効かなくなるんです。そのとき飲んでいる量では効かなくなるのです。
酒井 そうです。増やさないと効かなくなってしまうのです。けれども、そのスピードが早い薬と比較的ゆっくりした薬というのはあります。でも、いつも飲んでいる人が飲まなくなれば、元の不眠よりひどくなります。睡眠薬はうまく計画を立ててやっていけばほとんど効くようにやっていけるけれども、止めるのは難しいのです。
なので、日々の生活の中で良い睡眠のコツをつかむこと、また、明らかに不眠になるような生活スタイルを見直すことが、眠りを取りもどし薬を増やさないことに繋がると思います。
酒井 ヌーススピリッツの素材のキトサンの特性そのものに、やはり睡眠を誘導するような働きがあるんだと思いますね。従来の低分子キトサンには副交感神経を優位にしすぎる所がありますが、自律神経のその微妙なバランスを保つという難しい部分をこのヌーススピリッツは自然に調節してくれているように思います。健康食品としては驚くべきことですね。
1951年東京生まれ。東京大学文学部卒業、筑波大学医学研究科博士課程修了。
精神科医、医学博士、日本医師会認定産業医、臨床心理士。
現在、ストレスケア日比谷クリニック院長。おもに心身症、摂食障害、気分障害(うつ病)、強迫性障害などの治療に従事。