健康コラム
Healthcare Column.

運動と免疫と

適度な運動は免疫を速やかに高めてくれます

免疫とは、私たちの身体を細菌やウイルス病気から守ったり、身体の調子を整えたりする機能です。その免疫力は、日常生活で取り入れられる「簡単な運動」で高めることができることをご存じでしたか?

運動によって筋肉を動かすと、まず血行やリンパの流れが良くなります。その結果、溜まった疲労物質が取り除かれ、代謝が良くなり体温は上昇するのです。筋肉の動きと体温が上がることが連動すると、免疫細胞の働きは活性化し、すぐに免疫力が高まるのです。

またストレスは免疫を大きく低下させます。イライラした時に運動をするとストレスが吹き飛んだ、という経験があると思いますが、運動は心を司る自律神経をバランスよく働かせ、免疫を正常に機能させてくれるのです。

運動中は自律神経の中の交感神経が高まりますが、運動後、身体を休めることで副交感神経が優位になります。その際、外敵の侵入を監視(B細胞)したり、汚染細胞を処理(NK細胞)する免疫細胞の比率が上昇しますので、感染症予防には特に役立ちます。ただ運動は過度に行うと体内で活性酸素が発生し、逆に免疫機能は低下してしまいます。

適度な運動をする人は風邪をひきにくい

皮膚や筋肉の伸び縮みの刺激は、血液やリンパ液の流れを良くします。その刺激によって、体内をパトロールしている免疫細胞がすばやく移動できるようになります。運動不足はリンパの巡りが悪くなり、体温低下も引き起こして免疫は低下します。

免疫を高める最適な運動強度は汗ばむ程度

個人で手軽にできて、免疫を高める適度な運動となると「軽めの有酸素運動」がおすすめです。有酸素運動とは筋肉を動かすのに酸素を必要とする運動のこと。代表的なものはウォーキングやジョギング、サイクリングなどです。
筋肉をつけるのではなく、免疫アップさせるだけなら、少し汗ばむ程度の運動(負荷)で充分。ただし上手く習慣化する必要があるため、少しずつ取り組むのがポイントです。

お買い物・お散歩ついでに免疫力アップ

●かかと上げ(一度に10回ほど)

足を肩幅に開きゆっくり背伸びをして戻すのを繰り返しましょう。つらい方は座ってかかとを上げ下げしてもOK。下半身の刺激はリンパの流れを高めます。

●踏み台昇降(一度に5分ほど)

15cmほどの段差(踏み台や階段の一段目)を用意し、片方の足で登ったら同じ足で降りるのを左右交互に繰り返しましょう。同じ動作を繰り返すリズム運動を5分以上続けることで、セロトニンの分泌が促され、副交感神経は優位となります。

●ウォーキング(30分ほど)

やや早歩きの大股で30分、近所を散歩感覚で歩きましょう。買い物ついでや休憩時間を利用してできる時に行ってもOKです。寒ければコートなどを少し厚着して汗ばむ(体温が上昇する)よう工夫しましょう。
ウォーキングは多く歩いたほうが良いと思われがちですが、長年の研究成果により、10,000歩よりも8,000歩のほうが免疫に良いという言われています。12,000歩以上の運動(40分続く中強度の活動)はかえって免疫を低下させる場合があることが分かっていますので、歩数を意識しましょう。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。

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