健康コラム
Healthcare Column.

冬を乗り切る「心」と「身体」のたんぱく質

筋肉をつけるイメージが強いたんぱく質。「心」とは一見関係なさそうですが、実は密接につながっています。
今回はたんぱく質のあまり知られてなかった心と身体の役割をまとめました。

心の素(神経伝達物質)になるたんぱく質

てきました。しかし近年、多くの人が抱える心の不調に関して、実はたんぱく質が大きく関わっていることがわかってきたのです。

たんぱく質がなぜ心に関係するかというと、脳から発せられる「神経伝達物質」の材料となっているからです。やる気を出してくれるドーパミンや気持ちをリラックスさせるセロトニンなど、感情を司る神経伝達物質は、たんぱく質を構成する最小成分、アミノ酸からできています。
そのアミノ酸生成にたんぱく質が必要で、不足すると神経伝達物質が作られなくなり、脳の働きが鈍くなって、意欲・集中力が低下します。

最近、何だか物事がうまくいかない、頭がぼーっとすると感じている方は要注意。普段の食生活で、たんぱく質が足りておらず思考力が低下している可能性がありますので、まずは食事からたんぱく質をしっかりと補いましょう。

免疫や熱をつくりだすのもたんぱく質の役割

新型コロナウイルスの世界的流行によって、注目が集まっている免疫の働き。たんぱく質は、そんな免疫機能を高める際も重要な役割を果たします。

特に、細菌を攻撃する自然免疫として活躍する「補体」や、ウイルスの増殖を防ぐ「インターフェロン」、菌と戦う武器としてすっかり有名になった「抗体」も、その中身はたんぱく質です。つまりたんぱく質は、用心棒的役割を持つ免疫細胞を産生する上で欠かせない原料なのです。
現在ではたんぱく質欠乏症は末梢リンパ組織の消耗を招き、感染症リスクを高め、免疫反応の障害を引き起こすことがわかっています。

その他にも、たんぱく質不足は冷え症を招いてしまいます。たんぱく質は胃で消化される際に一度、肝臓に分解される際にもう一度、たくさんの熱を生み出してくれます。またその熱を体内で保持する筋肉を発達させるのも、たんぱく質の役割。冬、心身の調子が悪くなるという方は、ぜひたんぱく質多めの食生活にチャレンジして下さい!

冬のメンタルケアに役立つたんぱく質の摂り方

●心と身体が栄養を欲する大切な朝食タイム

朝食は脳を目覚めさせ、1日を元気に始めるためのエネルギー源。朝食を抜いてしまうと、冬の寒い一日では血行が悪くなる一方です。血行が悪くなるとセロトニンなどの神経伝達物質の産生力が低下します。朝食でたんぱく質を摂れば、一日の代謝量が増え、ホルモン分泌は促進されます。

●炭水化物だけの食事にはたんぱく質をプラス

血糖値の急上昇・急下降は身体に負担がかかるだけでなく、脳の働きを不安定にします。その状態にたんぱく質不足が重なると、心の病気の要因に。菓子パンやおにぎりなど炭水化物のみの食事は避け、ゆで卵やチーズ、ヨーグルトなど、手軽に摂れるたんぱく質食材を必ず加えましょう。

●ヘルシー志向の方はたんぱく質不足になりやすい

高エネルギー・高脂肪の食事は、健康にとって大敵ですが、だからといって肉をほとんど食べずに、野菜や果物と少量の主食のみの食事に偏ってしまうと、たんぱく質不足を招きます。栄養バランスを気にしない自己流ダイエット法は、摂食障害の原因にもなるので、注意する必要があります。

●一品は温かい汁物にすることで吸収力アップ!

冬でも食事の際に冷たい水を飲むのを好む方は身体に冷えが蓄積しがち。朝起きてもスムーズに腸内体温が上がらず、たんぱく質の吸収が遅くなります。朝からつらく、元気も出ないという方は、朝食の最後に一品、たんぱく質の具入りの温かい汁ものを。食物繊維豊富な豆スープがおすすめです。

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※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。

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