健康コラム
Healthcare Column.

腸活で善玉菌を育てよう

腸内には細菌がおよそ1000種類、100兆個も棲息しています。健康のためには、その中の「善玉菌」が占める割合を増やすことが必須です。

腸内の細菌バランスは遺伝的要素が強い

腸内細菌は、健康に良い「善玉菌」、不調をおこす「悪玉菌」、害はないけれど環境によってどちらにもなる「日和見菌」の3つに分類されます。腸内細菌は、それぞれの働きや性質の似た菌が集まり、腸内でまるでひとつの生態系のように、日々縄張り争いをしてます。

よく耳にする「腸内フローラ」という言葉はその3つの菌の集まりが腸の壁に隙間なくびっしりと張りつきお花畑(flora)のように見えるためです。
腸内で善玉菌が優勢になると日和見菌は善玉菌につき、有益な発酵活動を行われるようになり、身体は健康になります。逆に悪玉菌が優勢とみると日和見菌は腐敗活動を始め、腸内は荒れてしまうのです。

腸内フローラのかたち(腸内細菌の割合)は、赤ちゃんの時、母親の産道にある腸内細菌に接触することで細菌をもらい受け、それが原型となります。食べても太らない、お腹を下しやすいなどの腸の性質はある程度、そこで決まってしまうそうです。
基本的に乳幼児期に構築された腸内の細菌バランスは、大人になっても続きます。それは単に私たちの健康を支えるだけでなく、肥満やがん、糖尿病、心の病など様々な疾患の発症と関わっていることが、解明されてきています。そのためにも、日々自分でお腹が弱いと感じる方は、善玉菌優位にする「腸活」を改めて意識する必要があるでしょう。

なぜ腸活が大事なの?

免疫細胞は腸内で強くなるためです。
腸は健康の中心。脳や皮膚も善玉菌の影響をうけます。

腸には全身の約7割の免疫細胞が集まっています。体外から入ってきた菌や異物を免疫細胞に常に触れさせることで、新しい菌の性質を学習させ、全体の免疫力を高めているのです。善玉菌が活性化してないと、その免疫学習力が低下し、肌荒れや動脈硬化の原因となります。また腸の不調は脳のホルモン分泌の低下につながるという研究結果も出てきています。

腸に悪影響を与える悪玉菌については、肉類のたんぱく質や脂肪をエサに増えることがわかっています。欧米型の食生活を続け、体に吸収されなかったタンパク質が腸に残ると、悪玉菌によって有害物質に変えられてしまい、様々な病気の原因となってしまいます。

善玉菌を育てるために知っておくべき5つのこと

(1) 清潔にしすぎると善玉菌も減ってしまう

社会生活や会話で、外から体内に摂りこむ菌にも善玉菌は含まれています。過度な除菌・マスク生活は外から必要な菌が取り込めなくなる可能性も。

(2) 食事に野菜が必要なのは善玉菌を増やすため

善玉菌は野菜に含まれる「食物繊維」や「オリゴ糖」を使って増殖します。他にも海藻・きのこが健康によいと言われるのは善玉菌のエサとなるからです。

(3) ストレスは腸内悪玉菌を増やす

腸と脳は相関関係で繋がっており、脳がストレスを感じると、悪玉菌が優勢になり、善玉菌を駆逐していきます。ストレスでお腹の調子を崩すのはそのためです。

(4) 肌や髪にツヤが出るのも善玉菌の働き

大腸に生息する善玉菌は短鎖脂肪酸という酸を出しています。これは皮膚の代謝に必要不可欠で、善玉菌が多いほど髪や肌の調子が良好になります。

(5) 善玉菌が増えるのを待つ辛抱強さも必要!?

食生活を変えたりと、何らかのケアをして腸内細菌の構成が変わるには約2週間かかるそうです。どんな腸活も最低2週間は続け、体調の変化を待ちましょう。

今ある善玉菌を大切に!ポイントは1日2回の和食

身体の健康のためには腸内環境を「善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割」にしておくのがよいとされています。しかし、そのバランスを保ち続けるのは実はとても難しいこと。なぜなら、腸内の善玉菌は年齢とともに自然と減って、悪玉菌が幅を利かせ始めるからです。

善玉菌は乳児期がもっとも多く、老年期に差し掛かる頃になると、その数は100分の1に激減する人もいるそうです。そんな減り続ける善玉菌を増やすため、ビフィズス菌や乳酸菌食品など食べればよい!と思う人もいるかもしれません。しかしそれら菌食品は、腸内にある程度の期間しか滞在できず、腸内フローラを構成する善玉菌として、棲みつくことはありません。

では、善玉菌の割合を上げるにはどうしたらよいか?それは持って生まれた善玉菌を鍛え、育て、長生きさせることです。例えば百歳の方の腸内を調べると善玉菌量が多く、だいたい60歳くらいの腸内環境を維持できているそうです。

善玉菌を育てる最も効果的な方法は、食生活を和食中心にすること!まずはお味噌汁や野菜たっぷりの食事を心がけてみましょう。理想は1日3食の中で和食を2回。それを習慣にすると、善玉菌が活性化するエサを絶え間なく与え続けることになり、腸内を善玉菌優位にすることが可能となるのです。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。

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