健康コラム
Healthcare Column.

甘いものがうつの原因に? 砂糖と心の関係性

最新の研究から紐解く白砂糖の健康リスク

現代の食生活の中で、糖分の摂り過ぎは避けて通れません。ひと昔前までは砂糖といえば超高級品で、たまにしか摂ることができないものでしたが、今や飲み物でも、外食でも、砂糖がたくさん入ってないものを探す方が逆に難しく、気をつけないとすぐ過剰摂取となってしまいます。

また心が安らぐからと、甘いものをとるのも逆効果。特にミネラルなどを一切含まない「精白糖(白砂糖)」は、取り過ぎが日常化することで、キレたり、情緒不安定になったりと、身体だけでなく、心にも悪影響を与えることが、最新の研究で分かってきました。

元々ミネラル分を完全に排除した白砂糖の害を懸念する研究者は多く、様々な検証が行われてきました。近年、長期にわたる調査によって、砂糖の精神疾患リスクについての事例がどんどん増えており、注意が必要です。

糖分摂取量が多いと“うつ”の原因に

糖分は基本的に体内のエネルギー燃焼に必須なものです。しかし必要以上の過剰な糖分はエネルギー燃焼後、コゲ(AGES・終末糖化産物)として体内に蓄積します。AGEsの蓄積は体内のいたるところで起こり、特に脳に対して、強力な毒性を示します。

2019年オランダ・アムステルダム自由大学で行われた高齢者(平均58歳)のAGEs研究では、AGEs値が高いと抑うつ症状、うつ病発症率が高くなるという結果がでています。これは脳の神経細胞にAGEsが蓄積し、炎症を起こしていると考えられるからです。

また2017年、砂糖の摂取とうつ病発症リスクについての長期的な研究結果が、世界的医療専門誌「サイエンティフィックリポート」に掲載されました。

この研究では2万例を解析対象とし、砂糖の摂取頻度が高い集団と低い集団にわけて、うつ病を含む精神疾患の発症を長期で比較しています。その結果、食品・砂糖摂取が最も高い集団(男性)は、5年後の精神疾患の発症が他より23%も増加することが示されています。
砂糖の過剰摂取によってうつ病が発症するリスクが一段と高まることがわかったのです。

イライラの常習化も

砂糖を恒常的に摂取していると、脳内ではアドレナリンというホルモンが過剰分泌されます。
アドレナリンはインスリンで下げることのできない血糖値上昇を下げてくれるのですが、その正体は人を興奮させる脳内麻薬。過剰な砂糖摂取によってアドレナリンが大量に分泌され続けると、気分が高揚する反面、攻撃性が高まり、落ち着きがなくなります。
またそのイライラを抑えるために、ジュースなど砂糖を欲するようになり、過剰摂取の悪循環は止まらなくなってしまうのです。

砂糖が腸内悪玉菌を増やし、脳内がセロトニン不足に

パニック障害や自律神経失調症など治療が難しいとされる疾患についても、砂糖との関係性の研究が進んでいます。パニック発作は、大脳辺緑系の神経が混乱することで起こるとされています。その要因として上げられているのが、セロトニン不足。強烈な不安や興奮が襲ったとき、脳内にセロトニンが極端に不足していると、心拍数が速くなったり、過呼吸になったりします。

そして必要なセロトニンは、腸で作られます。白砂糖は腸内悪玉菌の大好物で、悪玉菌が増え腸内環境が乱れると、セロトニンが産生されなくなります。 アルコールや肉も悪玉菌の餌になりますが、過剰な砂糖は、腸内でより効率的に悪玉菌を育ててしまうため、腸内環境はとても悪化しやすくなるのです。

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※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。

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