健康コラム
Healthcare Column.

たんぱく質でフレイル予防

たんぱく質不足が健康障害リスクを増やす

「たんぱく質」は、私たちの身体をつくるとても重要な栄養素です。筋肉はもちろん、骨や関節、内臓、血管、皮膚、血液など身体はたんぱく質無しでは成り立ちません。生体機能の調整に欠かせないホルモンや酵素もたんぱく質から作られているのです。

そんな大事なたんぱく質は、主に肉や魚、卵などの食事から摂取できますが、年齢とともに食事の量が減ることや、料理自体をしなくなること、近年の低栄養化傾向等の影響から、たんぱく質不足になる人が多くなっています。

たんぱく質不足になると、体力低下、免疫力低下、筋力低下、肌・髪のトラブル、集中力・思考力の低下などを引き起こします。特に高齢者の場合、筋肉が衰え「フレイル」に陥りやすく、運動・認知機能が低下しやすくなることがわかっています。

要介護前の状態・フレイル

フレイルとは、健常な状態から要介護状態になるまでの中間的な段階のことを言います。また、フレイルは、身体的な問題だけでなく、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題も含める多面的な概念を指します。

このフレイルの時期に、心身などに、広い範囲でダメージを受けると、回復できる力が弱くなり、環境や外敵からのストレスに対しても抵抗力が弱くなります。
しかし、適切な予防や、支援をうけることで健常な状態に戻ることができる時期ともされているため、フレイル時期の生活が、その後の人生を左右する可能性もあるのです。

フレイル予防にたんぱく質

このフレイルになる原因として挙げられるのが、たんぱく質不足です。
フレイルの症状としてまず起こるのが、筋力・筋肉量の減少です。加齢にともない骨格筋量は減少し、60代から減少は加速します。減少を抑えるためには、筋肉量の維持・増大が必要であり、そのために食事で良質なたんぱく質を摂取する必要があるのです

また、高齢者はたんぱく質の合成反応が低いことと、消化吸収率が低いことから、高齢者は若年層よりも多くのたんぱく質を摂取することが必要であることもわかっています。

1日のタンパク質必要量として女性は平均50g、男性は60gとされていますが、食事量の減少などにより、摂取が難しい方におススメなのが、プロテインです。プロテインと聞くと、アスリートなど運動をする人が飲むイメージがありますが、高齢者はもちろん、たんぱく質摂取が足りない方にも、補助としてプロテインを活用することをお勧めします。

たんぱく質を上手にとるためのQ&A

Q.たんぱく質をとるなら、肉と魚どっちがいいの?

A.肉も魚もアミノ酸スコアがどちらも同じ100なので、どちらでも構いません。しかし、特に脂肪のとり方に大きな違いがあります。
脂肪酸は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の大きく分けて3つあります。魚と肉では含まれる脂肪酸が異なるのです。またこの3つの脂肪酸は同じ割合で摂るのが望ましいとされています。
たんぱく質だけで言うと、どちらでも構いませんが、脂肪など他の栄養素のバランスもよく摂れるように、魚と肉も両方摂取することが大切です。

Q.たんぱく質はいつ摂るのがいいの?

A.基本的にはいつでもいいのですが、1日のたんぱく質必要量が足りていればいいわけではありません。朝食・昼食・夕食や間食などを含めて、均等にタンパク質を摂る方が、筋タンパク質の合成をより高めることができると報告されています。
また、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品といったタンパク質源が豊富な食材にはトリプトファンというアミノ酸が入っていて、体内でセロトニンやメラトニンに変換され、体内時計を調整したり、ストレスを和らげるなどの働きがあるといわれています。
時間の無い朝はどうしてもたんぱく質が不足しがちです。朝食にタンパク質をしっかりとることで、トリプトファンをチャージでき、筋肉・睡眠・心理的にも良い影響があるのです。

[広告枠]

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。

[戻る]  /  イキイキ生活通信読み物一覧へ