免疫を下げる要因は、日常の些細な習慣の中に潜んでいます。改めるべき習慣をチェックしてみましょう。
睡眠から目覚める朝は、身体を休める時に働く副交感神経から、活動のための交感神経への切り替えを行う重要なタイミングです。そして睡眠中に免疫を高める副交感神経をより働かせるには、毎日朝の体内時計が正確であることが必要です。
しかし寝坊や二度寝が習慣化してしまうと、深夜に副交感神経が充分に働かずリンパ球の働きは低下します。また昼の活動時も末梢への血流が悪くなって白血球の循環が滞り、免疫力が低下しやすくなるのです。
免疫細胞は体内を隅々まで巡ることで、身体をウイルスなどから守ります。そして免疫細胞を巡らせるには、身体を動かすことによって血行が促進され、すみずみまで酸素や栄養を届けることが不可欠です。
そのために必要なのは筋肉を動かすこと。それによって同時に白血球に含まれる免疫細胞が活性化し始めます。生活の中で筋肉を動かさなくなってしまうと、体内の免疫活動が停滞する恐れがあります。
腸は、食べ物と一緒に入ってくる病原菌やウイルスに体内で最も接するフロントライン。
だからこそ大量の免疫細胞が、栄養や水分を吸収する腸の壁のすぐ内側に密集して、外敵の侵入に備えているのです。
腸管を常に健康にするには腸内細菌のバランスを健康に保つことが必須です。特定の栄養に偏らない、そして規則正しい食事を心がけるのは、腸=免疫機能を守るためともいえます。
夜も明るい環境や、夜遅くまでパソコンなどのLEDディスプレイでブルーライトを浴びる生活は、睡眠・覚醒リズムを乱れさせ、自律神経系や内分泌系、免疫系に悪影響を及ぼします。
これは交感神経優位のまま睡眠状態に入ることで、副交感神経の働きが抑制されるから。それを繰り返すと睡眠中の免疫力は低下します。研究では睡眠時間が少ないほど風邪を引きやすくなることがわかっています。
体温が1℃下がると免疫力は30%も下がるほど、免疫には体温の維持は必須です。
人の身体は、気温が上がって体温が平熱より少し高い状態が維持されると、免疫を高める副交感神経系が優位になります。そのため、夏は基本的に免疫が高い状態です。
しかし冷たい飲み物やアイスクリームなど摂ると、腸が冷えてその働きが低下しがちに。何より記録を更新するような高温猛暑は屋内でエアコンを使うことを当たり前にしてしまい、必要以上に身体を冷やすことにつながっていて、免疫力を下げてしまう大きな要因となります。
アルコールは高カロリーなので、一瞬体温が上昇しますが、実はその数時間後には腸内を冷やしてしまいます。酔いが回ると気づかないうちに冷えが進み、免疫が低下するのです。
またアルコールの過剰摂取は免疫細胞の中でも重要なマクロファージの機能を低下させたり、免疫細胞が集まるのどの粘膜を傷つけたりする恐れがあります。粘膜に傷がつくと免疫力は相対的に低下します。
運動は免疫を高める重要な要素ですが、つらさを感じるような激しすぎる運動は逆に免疫力の低下をもたらすこともわかっていますので注意しましょう。
特に強い運動時に分泌されるストレスホルモンは免疫機能を抑制します。また骨格筋に血流が集中することで、皮膚や内臓のバリア機能の一時的低下によって、病原体の侵入を許してしまうこともあるのです。
精神的ストレスは、免疫力を低下させる大きな要因です。私たちは持続的な強いストレスを受けると、脳からストレスに反応してステロイドホルモンや神経伝達物質が分泌され、白血球中のリンパ球や細胞の働きを低下させます。また「悲しい」「こわい」「腹が立つ」などの感情は、交感神経を緊張させ、副交感神経とのバランスを崩し、同じく免疫を低下させてしまいます。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。
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