イキイキ生活通信/読み物
Three rules for dementia prevention.

認知症を予防するための3つのルール

認知症ってどんな状態なの?

歳をとるごとに発症確率が上がっていく認知症。
いつごろから進行するのかと言うと、認知症の原因物質とされるアミロイドβが脳に溜まり始めるのは40代後半からです。アミロイドβと言われても何だか難しそうに感じますが、簡単に言えば、神経の細胞膜で作られた、たんぱく質の一種のことで、アミロイドβは脳内に出来たゴミです。

正常な脳では、このゴミは脳から排出されます。ところが、年齢とともに排出する機能が衰え、40代後半から脳内に溜まると悪さをし始めてしまうのです。例えるなら、ごみ収集車がなかなか来なくなって、家の前にゴミが溜まっている状態。ゴミが玄関の前をふさいでしまって、周囲との連絡がうまく取れなくなってしまうのです。

65歳以上の4人に1人は認知症

厚生労働省が2015年に発表した調査結果によると、日本の認知症患者数は2012年約465万人で、65歳以上高齢者の7人に1人と推計されています。
認知症の前段階とされる「軽度認知障害」、いわゆる認知症の予備軍は、約400万人いると言われ、両方を合わせると、65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症とその予備軍となります。今後、高齢化が進むにつれて認知症の患者数は加速的に膨らみます。2030年には830万人、2050年には1000万人に及ぶと言われています。

認知症は「生活習慣病」

高齢者の2割が認知症ですので、年をとるのが怖くなってしまいますが、認知症は生活習慣病の一つです。言い換えれば生活習慣を変えることで、認知症にはならない8割に入るということなります。

認知症の原因は一つではありませんが、認知症と生活習慣病の危険因子を見ていくと、その多くが重なっています。例えば、生活習慣病の糖尿病になると、健常な人と比べて2~3倍もアルツハイマー病になりやすいという研究データがあります。「糖尿病性認知症」と言う新しい考え方や、アルツハイマー病は「3型の糖尿病」と言う新しい呼び方が出てくるほど、密接な関係にあります。

同じく、生活習慣病を代表する「高血圧」は、脳血管性認知症との関連が深く、血圧が高いほど、脳血管性認知症を発症しやすいと言う結果が出ています。
認知症の発症要因としては、糖尿病、中年期以降の高血圧、肥満、運動不足、うつ病、社会的孤立、高齢期の難聴、喫煙と言われています。これらの要因に気を付け、生活習慣を変える事で認知症が予防できます。

生活習慣病対策で認知症患者が2~3割減(イギリス実例)

2013年、イギリスの医学専門誌「The Lancet」に、認知症患者が2~3割減少したという実例報告が発表されました。
20年前には認知症の割合が日本とほぼ同じであったイギリス。単に高齢化比率の差ではないことが分かります。

では何をやったのかと言うと、イギリスでは2005年から「心臓病の治療が認知症予防になる」と国を上げて取り組んできたそうです。禁煙キャンペーン、減塩キャンペーンを大々的に行い、ある一例をあげると、パンを製造する企業に働きかけ塩分を3年間で10%削減することに成功し、医療費を年間で2600億円削減できました。
イギリス国民にも、脳卒中・心臓病・糖尿病・腎臓病が単にその病気だけでなく、認知症と深く関わっているため、それらにならないよう予防することが大切であることを国を挙げて周知に取り組んだ結果でした。

認知症を予防する3つのルール

1.週3回以上の有酸素運動

ウォーキングは動脈硬化等の生活習慣病の予防となり、足腰の筋力を維持するため、転倒や骨折によって寝たきりになることも防ぎます。また、心肺機能も向上し疲れにくくなります。活動量が増えることで食欲も高まり、脳も含めた身体の健康維持に必要な栄養をしっかり摂れたり、夜眠れるようになったり、社会との接点も増加したりと、ウォーキングをきっかけに総合的なフレイル対策になります。背筋を伸ばして胸を張ることを意識しましょう。腹筋にも力を入れると、より効果的です。

2.熱中できる趣味

運動でも頭を使う活動でも、何かに夢中になって時間を過ごしていれば、脳も含めて身体の細胞が活性化します。血流も良くなって、脳や体に不要なものがたまるのを防いでくれます。熱中できるものであれば、仕事でも副業でもボランティア活動や家の仕事でも何でもOKです。趣味を通じて人との接触頻度も大きく増えることで、脳に刺激を与えます。

3.バランスの良い食事

認知症を予防するためにはバランスの良い食事が基本です。
和食を中心にたんぱく質やビタミン、ミネラルなど不足しないように食べてください。バランスと言うと難しく考えがちですが、色とりどりの新鮮な食べ物を用意すると色合わせのゲーム感覚で楽しいかも知れません。赤、緑、黄色、茶色、白、肌色、紫色など食べ物の色で食卓を飾りましょう。今の季節ですと、具沢山のお鍋がお勧めです。色とりどりの食材を入れて、美味しく食べましょう。

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※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。

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