笑う門には福来る、笑いは副作用のない妙薬とも言われます。
その効用を詳しく知ると、日々の気持ちや生活のあり方が変わってきます。
そんな笑いの効用を最新の研究結果と共にお伝えします。
私たちの身体には毎日たくさんの菌が侵入してきます。それらを退治する中心的な役割を果たしている免疫細胞が、ナチュラルキラー(NK)細胞です。
NK細胞は超攻撃的で、常に全身をパトロールし、ウイルスやがん細胞を見つけ次第攻撃して死滅させます。ただ、NK細胞は食べ物やストレスなど外部の刺激によって、その働きが高まったり、低下したりと「気まぐれ」な性質があるのです。
そして、NK細胞を強力に活性化させるには、善玉ペプチドという脳内物質が必要なのですが、それは「笑う」ことで大量に分泌されることがわかっているのです。これらの研究結果は笑いの本場、大阪の学術機関が中心となって発信されており、現在この分野で日本は世界を一歩リードする立場なのです。
笑いが免疫を上げるポイントの一つに呼吸があります。笑う時には反射的に下腹部に力が入り、息を短く吐くことが繰り返されますが、この腹式呼吸は特別なもの。その刺激が全身のリンパを促進させると考えられており、呼吸が弱くなりやすい年配の方は、毎日必須です。
ただ1日に何度も大笑いする必要はありません。笑いと免疫の関係で面白いのは、クスッと軽く笑っても、腹をかかえて大笑いしても、その活性効果は同様に発揮されるという点です。
これは表情が緩んだり、作り笑いだったりしても、脳が勘違いして善玉ペプチドやセロトニンを分泌してしまうから。笑顔は気のおけない仲間との会話や楽しい趣味からも生まれます。自分が長く笑顔が作れる生活環境や習慣を構築することが、感染予防、イキイキ健康へと繋がっていくのです。
リウマチの軽減/笑いがアレルギー反応を抑制
関節リウマチ患者に落語を聞いてもらい、その影響を調べたところ、 ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾール値が基準値の範囲内まで下がり、リウマチを悪化させる物質が劇的に下がって身体が楽になった、などの成果が出ました。
日本医科大学リウマチ科の吉野槇一教授は「これほど効果があって副作用のない薬はない」と医学的、科学的治験を多数行い、心と免疫系の体内の繋がりに関する論文を発表。「病は気から」を裏付ける結果が出ています。
認知・記憶力維持/10分の笑いで記憶力大幅アップ
大阪府立健康科学センターが行った、笑いの頻度と1年後の認知機能の関連研究で、「ほぼ毎日笑う人」と「ほとんど笑わない人」では、後者の方が1年後の認知機能の低下が大きいという調査結果が出ています。
また芸人がコントを披露し、10分間大笑いした後で、同じ「記憶力テスト」をすると、正解率は2割程度アップ。この結果から、塾や介護・リハビリ施設では、笑いを積極的にプログラムに取り入れるようになってきています。
糖尿病ケア/糖尿病患者の血糖値を調整
糖尿病リスクは血糖値の上下が急であるほど高まります。実験では同じ食事の際、1日目は「糖尿病に関する講義」、2日目は「漫才」を聞いてもらうと、空腹時と食後血糖値の差が講義の時は平均123mg/dlだったのに対し、漫才は平均77mg/dlでした。しかもその効果は大笑いした人ほど大きかったとか。
2型糖尿病患者の血糖コントロールは注射や投薬が中心のため、この実験結果は免疫による糖尿病ケアに可能性をもたらすものとなっています。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。
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