私達の身体は60兆個の細胞でできています。細胞一つ一つを元気で若々しく保つことが老化防止、健康維持のカギです。
しかし、紫外線やストレスなどの外的刺激によって、細胞は日々ダメージを受けています。細胞内にゴミがたまったり傷ついたりすると、細胞機能の低下、さらには細胞死を引き起こし、これがシミやしわ等外見はもちろん、身体の内部の不調といった細胞レベルの老化現象につながります。
年齢とともに細胞の修復力は低下するため、細胞の老化は著しく進みます。若々しく健康な身体、すなわち「健康な臓器」を保つためには細胞の修復力を高めることが重要です。
“オートファジー”は2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞して以来、注目を浴び続けている研究分野です。
オートファジーとは、細胞が自ら細胞内の不要なゴミを回収し分解をすることで、新しい細胞としてリサイクルする働きのことです。
自らをリサイクルすることによって、常に新しい細胞で居続けることができる、体の重要な機能の1つです。
具体的なオートファジーの主な働きは、細胞の新陳代謝を上げる事。細胞内で機能低下を引き起こす物質を少しずつ壊し、新しく作り変えることで、細胞の新陳代謝を促進し、元気な細胞をキープする働きがあります。
もう一つの働きは、細胞内のお掃除をすること。細胞内に侵入した病原体やウイルス、老化の原因になる活性酸素など、細胞内の有害物質を狙って回収・除去することです。
細胞内の不要なものが溜まると、細胞がうまく働かず、様々な体調不良に繋がります。また細胞というといつも目に見えるものではないので、細胞の劣化を直接実感することは少ないですが、細胞が常に新しく活性化することが、全身の健康に繋がるのです。
細胞が入れ替わるサイクルは部位によって差がありますが、肌は1番早く、約1ヶ月、血液が約4ヶ月、骨は約5ヶ月で入れ替わるとされています。歳をとっても健康な人は、オートファジーが正常に繰り返されており、体調が優れず、病気がちな人は、オートファジーが乱れていると考えられます。
オートファジーは年齢とともに機能が低下してしまうことが分かっています。
オートファジーを活性化させるためには、まず生活習慣の改善を。特にウォーキングやジョギングなどの有酸素運動はより効果が期待できます。
また、食事面では高脂肪食を摂ると肝臓のオートファジーが低下してしまう一方、いわゆる腹八分のゆるいカロリー制限はオートファジーを活性化させます。
とくに更年期は、エストロゲンの減少により、気分の落ち込みや情緒不安定が起こりやすくなりますが、オキシトシンにはその心の揺らぎを和らげ、安心感を育む力があると注目されています。
さらに最近になって、オートファジーを活性化させる食品成分もわかってきました。
ウロリチンAを含むザクロやベリー、くるみ。レスベラトロールを含む赤ワインやぶどう。アスタキサンチンを含む鮭やいくら、エビなどです。
オートファジーを活性化する成分を効率的に摂取できるサプリメントもありますので、健康寿命を伸ばしたい方は積極的に摂られてみてはいかがでしょうか。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
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