健康コラム
Healthcare Column.

世代間ギャップと自律神経

世代間ギャップはなぜ生まれるのか

「最近の若者は」「昔はこうだったのに」ついつい言いたくなるこのセリフ。世代間ギャップはいつの時代も避けて通れない問題です。

近年はインターネット、スマートフォン、SNSなどの技術革新が進み、これらのテクノロジーは、私たちの生活を劇的に変化させました。しかし、その変化のスピードは、世代によって受け止め方が大きく異なります。情報過多の時代を生きる若者と、そうでない世代との間には、深い溝が生まれつつあります。

世代間ギャップが自律神経に与える影響とは

このような世代間ギャップは、ベテラン世代、若者世代の双方にとって人間関係での大きなストレス要因となり、自律神経のバランスにも影響を与えている可能性があります。

自律神経は交感神経と副交感神経がバランスよくはたらくことで機能しています。交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキ。お互いがシーソーのようにバランスを取りながらはたらくことによって、体の状態を良いコンディションに保っています。

交感神経・副交感神経の2つはどちらがいいという訳ではなく、両方がオン・オフになり、状況に応じてバランスよく切り替わる状態が理想的です。

例えば日中、学校の授業や仕事に集中したい時には交感神経が優位になって「興奮モード」にならなければ活動ができません。夜、ぐっすり休んで疲れを取るためには副交感神経が優位になって「お休みモード」になることが大切です。
ところが、現代人のほとんどがこの自律神経のバランスが乱れていると言われており、その乱れ方も世代によって異なっているようです。

ベテラン世代 = 副交感神経の働きが低下

年齢を重ねると、自律神経の働きは衰えてきます。近年の研究では、特に副交感神経の働きが低下することが分かっています。

これは言い換えれば、交感神経が優位な状態ということ。仕事や家庭での責任や健康への不安など、ストレス要因の増加も交感神経を優位にします。
交感神経が過度に優位になると、アクセル全開の状態が続き、不調につながります。体が常に緊張しているため、休んでいるつもりでも休んだ気がせず、睡眠不足や慢性疲労が抜けません。そうした中で、若者世代の行動や態度にもストレスを感じ、心身の不調へとつながります。

若者世代 = 交感神経のスイッチが入りにくい

若い世代は、活動量が多く新陳代謝も活発なため、副交感神経が優位になりやすい傾向があります。副交感神経が優位な状態は、リラックスや回復を促し、心身のバランス維持に役立ちます。しかし近年、副交感神経が優位になりすぎて、交感神経のスイッチが入りにくい若者が増えていると言われています。

原因には、睡眠不足・運動不足・食生活の乱れ・スマホの過剰使用など、生活習慣の乱れが複雑に関係していると考えられます。また、それによって心の安定に関わる神経伝達物質セロトニンが不足し、交感神経の働きが鈍くなる可能性があります。

「いざ、仕事!」というときに切り替えがうまくいかないと、だるい状態で動くことになります。本人も「やらなければ」という思いはあっても、体が思うように動かず疲労がたまります。そんなときに上司から「やる気がない」と言われると、モチベーションが下がってしまうのです。

世代間ギャップを解消するために

●相互理解と尊重
異なる世代の価値観や考え方を理解し、尊重することが重要です。相手の立場に立って考え、偏見を持たずに接することで、相互理解を深めることができます。

●情報共有と学習
互いに学び合うことが大切です。若者はデジタル知識を、ベテランは人生経験や伝統的な知恵を伝えることで、世代間のギャップを埋められます。

●ストレスをためない習慣を
軽く汗をかく運動は自律神経の切り替えをスムーズにし、心身の緊張をやわらげる効果あり。スマホやパソコンの使用を控えるデジタルデトックスもおすすめです。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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