免疫と聞くと、風邪や病気の予防を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、免疫は肌や髪の健康にも深く関わっているのをご存じですか?
免疫の第一の役割は、体内に侵入した異物を排除すること。さらに、第二・第三の働きとして、老化細胞(役割を終えた細胞)を素早く除去し、新しい細胞へと生まれ変わらせる役割を担っています。
最新の研究によると、この免疫の働きが衰えると、老化細胞が周囲の細胞を傷つけ、病気の発症よりもさらに早く、肌や髪といった美容のトラブルとして現れることがわかっているのです。
セリノティクスとは、老化細胞を除去することで老化に関連する疾患を予防し、寿命を伸ばす最先端の研究分野です。
アメリカでは大規模な投資と研究が進み、免疫を活用したアンチエイジングや疾患の治療など革新的なアプローチが生まれています。
腸は健康だけでなく美しさを支える大切な器官です。
2024年の東京医科歯科大学の研究によれば、加齢によって腸の機能が低下すると免疫細胞の1つ、T細胞の働きが体の老化に関わることがわかりました。
このT細胞は本来、体を守る働きをしますが、バランスが崩れると腸に炎症を引き起こし、腸内環境が乱れると善玉菌が減少し悪玉菌が増加。腸のバリア機能が低下することで老化細胞が蓄積し、腸の機能自体を低下(老化)させるのです。
腸の働きが低下すると、当然食べ物からの栄養吸収が不十分になり、肌や髪の健康に久かせないビタミンやミネラルが不足しやすくなります。
特に、腸でつくられる短鎖脂肪酸は、腸内環境を整えるだけでなく、皮膚のバリア機能を強化し、肌のうるおいを守る役割を持っています。しかし、腸内環境が乱れると短鎖脂肪酸の産生が減少し、肌の乾燥が起こりやすくなります。その結果、シミやシワが増え、ハリを失いやすくなるのです。
ストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れ、血流が滞ることで肌はくすみ、髪のツヤも失われやすくなります。さらに、免疫の第三の働きである細胞の再生にも影響を与え、DNAの損傷を引き起こすことで、新しい健康な細胞が生まれにくくなってしまいます。
特に、肌の基底細胞や毛包の幹細胞は、常に代謝が行われる免疫の働きが活発な場所です。ストレスによる影響でターンオーバーが乱れると、肌の再生が遅れ、髪の成長も滞りやすくなります。
心が穏やかになるほど、体の回復力が高まり、肌や髪も本来の美しさを取り戻していくのです。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
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