健康コラム
Healthcare Column.

免疫と老化の関係

老化は免疫機能の弱体から

同じ年齢でも、若々しさを保ちながら輝いている人がいる一方で、体調を崩しがちで実年齢より老けて見える人もいます。その大きな違いの一因となるのが「免疫力の低下」です。

免疫は感染症から体を守るだけでなく、体内で発生する老化細胞を排除し、体を健やかに保つ役割を担っています。しかし、免疫機能が低下すると、体を守る力が弱まるだけでなく、細胞の修復が進まなくなり、老化が一気に進む負の連鎖が始まってしまいます。

その引き金となるのが「腸内環境の乱れ」です。腸内細菌はビタミン群や短鎖脂肪酸といった細胞修復や代謝に欠かせない成分を作り出します。腸内環境が乱れると善玉菌が減少し、老化を遅らせる免疫細胞の活性が低下します。これにより慢性炎症や細胞の修復不全を招き、老化が加速します。

さらに免疫力の低下は「炎症性老化」と呼ばれる慢性的な炎症を引き起こします。この炎症が続くことで細胞や組織が傷つき、老化を加速させる悪循環が生まれます。また、加工食品や紫外線、大気汚染といった外部環境の影響で増える活性酸素が細胞修復に必要なDNAすらも傷つけ、老化の連鎖をさらに深刻なものにしてしまいます。

食生活の工夫が「老後の自分」の若さへ

老化は誰にとっても避けたいものです。その最も効果的な改善策は、毎日の食習慣にあります。食事は体を支える基本だからこそ、日々の選択が老化の進行を緩やかにする鍵となります。健康で若々しい未来を叶えるためには、老いを感じる前の早い段階からのエ夫が大切です。

40代ごろから私たちは基礎代謝が低下し、エネルギー満費が緩やかになります。この変化に対応するには、食べる量よりも内容を充実させることが重要です。
あえて満腹を目指さず腹八分目を心がけることで、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子が活性化し、細胞の修復が促進されます。

主食、主菜、副菜をバランスよく揃えることで、エネルギー源の炭水化物、筋肉や臓器を支えるタンパク質、体内の調整役であるビタミンやミネラルを効率的に摂取できます。

これらの栄養素は互いに補い合い、老化を遅らせる働きを持っています。また、毎日同じ時間に食事を摂ることで体内リズムが整い、低下し始めた代謝やホルモンバランスを改善する効果が期待できます。特に朝食は、代謝を活性化させ、免疫を弱らせない、大切な一食であることが研究で明らかになっています。

また噛む回数を増やすことも、免疫力を高める老化をゆっくり進めるためのシンプルで効果的な工夫です。しっかり噛むことで唾液がたっぷり分泌され、暖化ストレスを和らげる抗唆化物質が働き、細胞の老化を防ぎます。また、噛むことで副交感神経が活性化し、リラックス効果を得られるとともに、消化器官の働きもスムーズになります。その結果、胃腸への負担を軽減しながら栄養を効率よく吸収できます。

これらの小さな積み重ねが、未来の自分を健康で輝かせる力となります。今の選択が、10年後、20年後のあなたを笑顔にしてくれるとしたら……免疫を高める食習慣を今日から始めてみませんか?

免疫を高める食習慣

●無理な我慢は程々に。楽しむことも大切に
食事は心を満たす大切な時間です。無理な我慢は体を酸化させることも。高カカオチョコレートやフルーツなど、より自然な「甘いもの」を選べば、罪悪感なく楽しみながら、リフレッシュできます。

●健康的な脂質を選ぶ
脂質は健康な体をつくるために欠かせない栄養素です。オリーブオイルやナッツ、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸などを意識して取り入れましょう。良質な脂質は、細胞を保つ働きがあります。

●発酵食品を毎日摂る
ヨーグルトや味噌、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品は腸内環境を整え、免疫力をサポート。日々の食事にちょっとプラスするだけで、腸が元気になり、肌の調子や体調の改善が期待できます。

●鮮やかな野菜を食卓に
トマトやパプリカ、ほうれん草など、彩り豊かな野菜には酸化を防ぐビタミンやミネラルが豊富に含まれています。その抗酸化作用によって、細胞を酸化ダメージから守ってくれます。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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