私たちの体の臓器を動かしているのは、細胞です。
その細胞のエネルギー源が酸素です。現代人の多くは酸欠状態であると言われています。
細胞においても酸素不足の状態が慢性化していると、ハリツヤのない肌、動きづらい筋肉や内臓、集中力も発揮できない状態になってしまいます。
さらに酸素と同じく重要なのが二酸化炭素(炭酸ガス)です。
「血管を運河」「血液を流れる水」に例えますと、「運河」にへモグロビンという船が酸素という荷物を運んできます。この荷物を受け取るのが細胞です。
細胞が荷物(酸素)を受け取るためにはヘモグロビンに二酸化炭素(炭酸ガス)を渡す必要があります。
この二酸化炭素(炭酸ガス)によりヘモグロビンから酸素を切り離す作用をボーア効果といいます。炭酸ガス療法は、このボーア効果を利用した再生医療です。
炭酸ガスを直接皮膚から吸収すると、血中の二酸化炭素濃度が上がります。すると体は酸欠になったと勘違いして「酸素をもっと送り込んでくれ」とばかりに、血流量を増やします。そうすると血管は反射的に拡張され、血流が増して、老廃物を洗い流そうとします。
言ってみれば炭酸ガスは、体に錯覚を起こして働かせて、体を健康な状態にしているということです。
皮膚から吸収された炭酸ガスは、炭酸ガス効果により血液循環を促し、細胞への酸素の供給を盛んする役目があります。
酸素を沢山受け取った細胞は、ミトコンドリア内でエネルギーをたくさん産出するので、新陳代謝を高めます。同時に炭酸は、真皮層の細胞にも届くので、そこにも十分な酸素が供給されることになります。その結果、繊維芽細胞のコラーゲンやエラスチンなどの物質の産出が促され、肌のハリを育てます。
細胞を元気にすれば、あれこれと対症療法に苦慮しなくとも、本来私たちが持っている肌を綺麗に保とうとする力、機能を十分に引き出すことができ、細胞レベルでのアンチエイジングが可能になります。
細胞が元気になるには、細胞内のミトコンドリアがせっせとエネルギーを作り出すことが必要です。そのためには、炭酸ガスによって血液中から酸素をどんどん細胞へ供給することが大事なのです。
また炭酸ガスは美容効果だけではありません。炭酸ガスの血管拡張作用は、肩こり、腰痛などの体の痛みにも有効であることがわかっています。酸素を作り出す炭酸ガスケアは、体の仕組みそのものであり、究極のナチュラル健康法と言えます。
炭酸ガスによる血流増加作用やボーア効果によって、たくさんの美容効果が期待できます。炭酸ガスパック剤を使用して、肌のキメを測定したところ、被験者全てがキメが細かくなったことが確認されています。
また顔のリフトアップにも効果的です。炭酸ガスパッタを顔の半分に塗って実験したところ、パックをした片方のみ目の位置や口角が上がる等わかりやすい変化がありました。
炭酸ガスには血管拡張効果があります。
血流が活発であれば肌細胞は不要な老廃物を溜めることなくどんどん排出します。その分酸素や栄養分が取り込めて細胞は活性化します。
血流量が増えると、酸事が増えて細胞が活性化し新陳代謝が良くなります。肌であれば、角層に古くなった表皮細胞が残ったままで排出できないとシワやゴワツキ、くすみ、しみ等に繋がります。新陳代謝が促されると、常に新しい細胞に生まれ変わるため、健康で美しい肌を維持していくことが可能です。
炭酸ガス療法では、筋力増強作用も注目されています。運動習慣のない24名に片足のみ炭酸ガス療法を週1回行った実験(※)を紹介します。
療法後1カ月後には、147%筋力が増強しており、3カ月後には約20%の筋力増強効果が認められました。運動をしてないにも関わらず筋力増強が認めらるという驚異的な結果です。運動をしたくても足腰が悪くできない高齢者の方にとっても良い治療法と言えます。
[ (※)FRAGRANCE JOURNAL 炭酸ガスの効果と化粧品の応用(2015.7)]
炭酸ガスはミトコンドリアの活性化と、酸素量が増えることによる脂肪代謝の促進が期待されています。ある試験(※)では試験前の脂肪が100%だとすると、3カ月後には、97.4%に低下していたという成果が見られました。運動が難しい人でも継続的に行うことで脂肪燃焼の効果が期待できます。
[ (※)FRAGRANCE JOURNAL 炭酸ガスの効果と化粧品の応用(2015.7)]
炭酸ガスの主な作用として有名なのは血流増加作用です。
血液は熱も運んでいるので、血液循環が正常であれば、温かい血液を身体の隅々まで運び体温を高く維持する事が出来ます。
それにより、各細胞は元気よく活動し、自然治癒力や免疫力がアップすると言われています。炭酸ガスパックを行った実験(※)では、パック後に皮膚温度が約3度も上昇した上、それが6時間も続きました。この結果がらも皮商表面だけが一時的に温まっているわけではないことがわかります。
[ (※)FRAGRANCE JOURNAL 炭酸ガスの効果と化粧品の応用(2015.7)]
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
[戻る] / イキイキ生活通信読み物一覧へ