「上咽頭(じょういんとう)」は、鼻と口の奥にあり、ウイルスや細菌が体内に入るのを最初に防ぐ重要な場所です。ここには多くの免疫細胞が集まり、病原体が侵入しようとするとすぐに反応して体を守ります。
しかし、上咽頭は非常にデリケートな器官であるため、免疫反応が過剰に働くと腫れが生じることがあります。
腫れは体が病原体と戦っているサインですが、ひどく腫れたり痛んだりする場合は、感染やアレルギー、乾燥が原因となっていることもあります。
上咽頭が健康であることは、免疫力を高め、風邪やインフルエンザ、花粉症などから体を守るために非常に重要です。そのためには、まず上咽頭を清潔に保つ必要があります。
清潔に保つことで、ウイルスや細菌が粘膜に付着しにくくなり、免疫力を温存できるためです。
さらに、粘膜のバリア機能がしっかり働き、外部からの病原体を防ぐ第一防衛線としても機能します。
●鼻粘膜のバリア機能
鼻毛と粘膜の組み合わせは、病原体が体内に入るのを防ぐ「二重のバリア」です。
鼻毛が大きな異物をキャッチし、粘膜は小さなウイルスや細菌を粘液で絡め取り排出します。この強力な防御システムが感染リスクを大幅に減らします。
●鼻水の浄化作用
鼻水には抗菌酵素であるリゾチームや抗体LeAが含まれ、これが浄化システムを支えています。リゾチームは細菌の細胞壁を破壊し、IgAはウイルスや細菌を捉えて無害化、病原体を絡め取りながら排出し、体内への侵入を防ぐ働きを果たします。
上咽頭が健康であることは、免疫力を高め、風邪やインフルエンザ、花粉症などから体を守るために非常に重要です。そのためには、まず上咽頭を清潔に保つ必要があります。
●繊毛の排出機能
鼻粘膜にびっしりと並ぶ「繊毛」は、病原体を外へ追い出す働きをしています。この細かな毛が絶え間なく揺れることで、異物や病原体を粘液とともに体外に押し出し、体内への侵入を防ぎます。繊毛の働きが、鼻の免疫力を支える重要な要素です。
●唾液の抗菌作用 唾液にはリゾチームやラクトフェリンなどの抗菌成分が豊富に含まれ、細菌やウイルスの増殖を抑えます。唾液の豊富な分泌が口内環境を清潔に保ち、外部からの感染りスクをしっかりと低減し、体の免疫力をサポートします。
●感染リスクを下げる 唾液中に含まれる免疫グロブリンAは、病原体が体内に侵入する前にその表面に結合し、動きを封じ込めます。この働きにより、口内に病原体が広がるのを防ぎ、体全体の免疫をサポートする重要な役割を果たしています。
●異物の排出 口腔内の粘膜は、病原体が体内に侵入するのを防ぐバリアとして機能し、細菌が付着しにくい性質を持ちます。唾液と協力して異物を押し流す働きもあり、日常的にうがいや水分補給をすることで防御力がさらに高まります。
定期的にうがいや鼻うがいを行うことで、粘液がうるおい、繊毛が活発に動く状態を保ちます。これにより、病原体を物理的に外へ排出しやすくなり、上咽頭の免疫機能を最適な状態で保つことができます。
喉の痛みや咳を和らげる薬、他の人にうつさないためのマスクは、感染後に役立ちます。これらは感染症の症状を軽減したり、感染拡大を防ぐためのものですが、病気の予防にはなりません。
感染を防ぐためには、日常的な免疫力強化が重要で、病院に頼るだけでは実際に十分ではありません。免疫力を高めるためには、普段の食生活や生活習慣のケアが不可欠です。
[ビタミンA]
ビタミンAは粘膜を健康に保つ栄養素です。ビタミンAが豊富なのは、卵黄や緑黄色野菜(にんじん、ほうれん草)など。特に卵は、手軽で毎日取り入れやすい優秀な食材です。野菜は朝のスムージーに入れるのもおすすめです。
[ビタミンC]
ビタミンCは抗酸化パワーで免疫細胞を活性化します。相橘類(オレンジ、グレープフルーツ)、ブロッコリー、パプリカにたっぷり。サラダにブロッコリーを足し、ヨーグルトをデザートにすれば、免疫アップのベストコンビです!
[亜鉛]
免疫の調整役である亜鉛は、貝類や魚介類、赤身肉に豊富に含まれています。メインディッシュに取り入れて、しっかり摂取しましょう。また、納豆や味噌汁などの発酵食品で腸内環境を整えると、亜鉛の吸収を助け、免疫サポートに効果的です。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
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