健康コラム
Healthcare Column.

認知症治療の常識に変化が

認知症が医学的に初めて報告されたのはおよそ120年前。
これまで治療法がなかった病の常識が少しずつ変わり始めています。

頭の老化の一番の原因は脳の炎症

みなさんは、なぜ認知症が起こるのかご存じですか? その一番の原因は、脳内での炎症によって神経細胞が傷ついてしまうことに由来します。脳の炎症は神経細胞同士のやり取りを妨げ、脳の機能を低下させるためです。

脳は非常に繊細で、一度炎症し始めるとそれを抑えるのは非常に難しいとされていました。ちなみにこの炎症を起こす主な原因は、脳のゴミとも言われるアミロイドβというたんばく質です。
脳の健康を保ち、そして認知症を予防するためには、この物質が脳に蓄積しないようにすることが大切なのです。

近年になって判別されたアミロイドβ

アミロイドβと認知症の関係がわかったのは、1906年とかなり古い時期です。それから100年も経っているにもかかわらず、対処法が見つからなかったのは、アミロイドβの蓄積が健康時には判別できないくらいごく微量だったからと言われています。
認知症発症時に突然現れる未知の物質アミロイドβ。その研究が進んだのは実は1990年代なのです。

そしてつい最近ともいえる2023年9月、認知症新薬“レカネマブ”が日本で承認されました。レカネマブは脳内のβアミロイドの蓄積で起こる炎症を抑え、早期アルツハイマー病の進行を遅らせる効果があります。
対して、民間の予防サプリメントの一部に使われている代表的な成分としてはフェルラ酸があります。

フェルラ酸の働き

フェルラ酸とは米ぬかから抽出される自然の成分で、脳の健康維持に効果的と言われている成分です。
研究によれば、この成分はこちらはβアミロイド除去作用に加え、脳細胞修復効果を持ち、ダメージを受けた細胞の修復を手助けします。また血流を改善し、脳に新鮮な酸素と栄養を供給します。さらに脳内の炎症を抑える働きを持つことで、記憶力の低下や集中力の欠如を防ぐ効果があるとされています。

認知症の発症は原因物質の長年の蓄積

認知症は原因物質が20年間近く蓄積して「やっと」発症する病気です。逆に考えると、その20年間は原因に対処するチャンスがあるということ。
更年期の方は早期の予防が大切になってきますし、ご高齢の方においても脳の炎症を抑えることが老化の進行を遅らせることに繋がるでしょう。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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