健康コラム
Healthcare Column.

旬の素材と腸内細菌

旬の素材が健康にいいのはなぜ?

旬の素材が健康に良い理由は、季節を乗り越えるのに最適な栄養素が凝縮されていること、そして豊富な食物繊維を持つ素材が多いことです。旬の食材を食べることを習慣にすることで体は自然のサイクルと同上司、心や体のデトックスがスムーズになります。

例えば夏の季節。夏は単に気温が高いだけでなく、体も心も活動健康的になります。そのため夏野菜は体も心の熱を冷ます効果を持っています。
秋は新陳代謝が進む時期であり、体内の水を潤し、五臓の中では肺を養う食材が多くあります。果物やさつまいもなどは、乾燥しがちな体を潤し、呼吸や腸の働きを整えてくれます。

現在、農業技術の進歩により果物や野菜の旬の概念は薄れています。しかし、旬の素材は栄養も美味しさも最盛期に当たります。健康になる手段の一つとして自然のリズムに合わせた食生活を送ることも考えてみられてはいかがでしょうか。

旬の素材で健康に。東洋医学の「食養生」

食養生とは「何を食べるのが健康に良いか?」を東洋医学の視点で考える、先人たちから受け継がれてきた知恵のことです。この伝統的なノウハウは、体の健康だけでなく、心の健康も守ってくれるのをご存知ですか?

東洋医学では、「気・血・水(体内の水分)」を体内でスムーズに巡らせることが健康の秘訣とされています。それに関連して、怒りや喜び、悲しみなどの感情は、臓器(五臓六腑)をケアすることで落ち着くとされています。「病は気から」という言葉があるように、特に「気」の流れの停滞は各臓器の働きを停滞させ、結果的に心の不調の原因とされています

そして、その重要な「気」や「五臓六腑」のバランスを最も効率的に整えてくれるのが、季節ごとの自然の恵みである旬の素材を摂る「食養生」です。旬の素材には、人の体が暑さや寒さといった気候の変化を乗り越えるための栄養だけでなく、気の流れを整える太陽からのエネルギー「陽気」を補給できます。

初物を食べると「風邪をひかない」「縁起がいい」と言われるように、旬の素材を献立に取り入れることは、古くから行われてきた、心と体のバランスを整えるための自然の営みの一つでもあるのです。

伝統の発酵食も心を癒す重要な「食養生」の一つ

季節や土地に合わせた保存食も「食養生」にとって重要な要素です。特に、旬の素材と伝統的な発酵技術の組み合わせは、漬物などがその代表例です。例えば、季節ごとに収穫される野菜をぬか漬けにして日々摂ることで、五臓六腑の中でも「小腸」を整えることができます。

西洋医学でも、近年、発酵食品の心への健康効果が注目されています。研究では、発酵食品で腸内環境を整えると、心のバランスを保つよう働くことが明らかになっており、乳酸菌や納豆、チーズなどの発酵食品を日々摂ることで腸内善玉菌を増え、セロトニンの生成を促進します。

セロトニンは「幸福ホルモン」と呼ばれ、心の安定に重要な役割を果たしています。このホルモンの生成が促進されることで、ストレスや不安が軽減し、心の健康をサポートすることがわかっているのです。

そして最も大切なことは旬の素材を美味しく食べることです。食事は単なる栄養補給だけでなく、喜びや満足感をもたらす癒しの時間となります。季節の恵みを楽しみながら、心も体も健やかに過ごしましょう!

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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