健康コラム
Healthcare Column.

認知症は予防できる

認知症ってどんな状態なの?

歳をとるごとに発症確率が上がっていく認知症。 いつごろから進行するのかと言うと、認知症の原因物質とされるアミロイドβが脳に溜まり始めるのは40代後半からです。

アミロイドと言われても何だか難しそうに感じますが、簡単に言えば、神経の細胞膜で作られた、たんぱく質の一種のことで、アミロイドβは脳内に出来たゴミです。 正常な脳では、このゴミは脳から排出されます。ところが、年齢とともに排出する機能が衰え、40代後半から脳内に溜まると悪さをし始めてしまうのです。
例えるなら、ごみ収集車がなかなか来なくなって、家の前にゴミが溜まっている状態。 ゴミが玄関の前をふさいでしまって、周囲との連絡がうまく取れなくなってしまうのです。

今の認知症患者数は?

厚生労働省が2024年に発表した調査結果によると、日本の認知症患者数は2025年には471万6000人となり、高齢者の7人に1人が認知症と推計されています。
今後、高齢化が進むにつれて認知症の患者数は加速的に膨らみます。団塊ジュニアの世代が65歳以上になる2040年には584万2000人にのぼると推計しています。さらに認知症と診断されるまでには至らない「軽度認知障害」の人までも含めると、612万8000人に達するとの予測がされています。

認知症は「生活習慣病」

高齢者の2割が認知症と考えると、年を取るのが怖くなってしまいますが、認知症は生活習慣病のひとつです。言い換えれば生活習慣を変えることで、認知症にはならない8割に入るということになります。

認知症の原因はひとつではありませんが、認知症と生活習慣病の危険因子を見ていくと、その多くが重なっています。例えば、生活習慣病の糖尿病になると、健常な人と比べて2~3倍もアルツハイマー病になりやすいという研究データがあります。「糖尿病性認知症」という新しい考え方や、アルツハイマー病は「3型の糖尿病」という呼び方が出てくるほど、密接な関係にあります。

同じく、生活習慣病を代表する「高血圧」は脳血管性認知症との関連性が深く、血圧が高いほど認知症を発症しやすいという結果が出ています。
認知症の発症要因としては、糖尿病、中年期以降の高血圧、肥満、運動不足、うつ病、社会的孤立、高齢期の難聴、喫煙と言われています。 これらの要因に気をつけ、生活習慣を変えることで認知症が予防できます。

認知症を予防する3つのルール

1.週三回以上の有酸素運動
ウォーキングは動脈硬化等の生活習慣の予防となり、足腰の筋力を維持するため、転倒や骨折によって寝たきりになることも防ぎます。また活動量が増えることで食欲が高まり、脳も含めた身体の健康維持に必要な栄養をしっかり摂れたり、夜眠れるようになったり、社会との接点が増加することも望めます。
ウォーキングをきっかけに総合的なフレイル対策も努めましょう。

2.熱中できる趣味
運動でも頭を使う活動でも、何かに夢中になっていきいきとした時間を過ごしていれば、脳も含めて身体の細胞が活性化します。
血流も良くなりますので、脳や体に不要なものが貯まるのを防いでくれます。
熱中できるものであれば、仕事でもボランティア活動でも家の仕事でもなんでもOKです。趣味を通じて人との接触頻度が増えると、脳に良い刺激を受けます。

3.バランスの良い食事
認知症を予防するためにはバランスの良い食事が基本です。 和食を中心にたんぱく質やビタミン、ミネラルなど不足しないように食べてください。 バランスと言うと難しく考えがちですが、 色とりどりの新鮮な食べ物を意識するだけでも構いません。 赤、緑、 黄色、茶色、 白、 肌色、紫色など食べ物の色で食卓を飾りましょう。

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※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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