健康コラム
Healthcare Column.

体内に潜む爆弾“保菌”

感染症は外からの菌だけで起こるわけではない

皆さんもストレスや疲れ、栄養不足で体が弱ると、突然かゆみが襲ったり、口内炎ができたりしたことはありませんか?
私たちの体内には常に微生物が存在していますが、その中にはヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルスといった感染菌も実は含まれています。これらの菌は一度体内に入るとやっかいなことになかなか消えず、害を与えずに、ひたすら隠れ続けます。これを「保菌」と呼ぶのです。

例えば急な発熱や湿疹は、外部の菌のせいだけではなく、体内に隠れて(保菌されて)いたウイルスが免疫が弱まったことで、増えて活動し始めることでも起こります。

この場合、抗菌など外からの感染症対策をいかに厳重に行っても、体内に隠れていたウイルスの活動を止めることはできません。発症のリスクを下げるには、体内に潜む微生物やウイルスを抑える「免疫」をより高めておくことが大切なのです。

[近年、流行中の保菌ウイルス]

帯状疱疹ウイルス
帯状疱疹の原因となるのは、多くの人が子どもの頃に感染する水痘・帯状疱疹ウイルスです。水痘が治った後も、このウイルスは背骨に近い神経の周辺に症状を示さずに保菌され、帯状疱疹の原因となります。

RSウイルス
発熱や喉の痛みを引き起こす感染菌です。コロナ以後は急増、全国各地で2~8倍に患者数が増えているそうです。

歯周病原性細菌
口の中は、特に免疫と菌のバランスが上手く保たれている場所です。しかし、免疫力が慢性的に低下すると、バランスが崩れ、歯周病菌が活発になってしまいます。

コロナ後は潜在ウイルスが活発に

コロナ以後、多くの国の保健機関でウイルス疾患、特に保菌ウイルス関係の疾患が増加していると報告されています。

世界中で抗菌意識が高まり、外部からの感染に対する防御力が強化されているのにも関わらず、ウイルス疾患が増えている原因は、私たちの免疫力が低下しているとしか考えられません。
特に、子どもの感染症が増えている傾向があり、各国でその原因と対策の策定が進められています。

子育て中の親は保菌しやすい生活環境にある

学校や保育園などの集団生活では、子どもがウイルスにさらされやすく、これが家庭内での親への感染につながることがあります。
子どもは免疫システムが未熟で、感染症にかかりやすく、感染予防も完璧ではないため伝染も容易です。だからと言って、子どもから親への抱きつきなどの愛情表現は避けるべきではありませんし、子どもは菌に感染することで免疫を向上させていくので、決して悪いことではありません。
子どもからの感染リスクを減らすためには、親自身が十分な睡眠や健康的な食生活によって免疫システムを強化することが、より効果的な対策となります。

抗菌時代の今、免疫を高める方法は?

免疫を高める一つの方法として、まずは、栄養状態をよくすること。ビタミンやミネラルの他、体内に溜まる活性酸素を除去する抗酸化物質を摂取することも重要です。

もう一つの効果的な方法は、体内に多種多様のウイルスを入れて、少量の菌に感染させることで免疫力を鍛えることです。

抗菌時代となったコロナ以後の生活では、自然の土や空気に含まれる様々な種類の菌と接触する機会が減り、免疫力を育むチャンスは少なくなっています。
もちろんインフルエンザなどの感染症予防は行いつつも、必要以上に清潔を追い求めず、外の自然に触れ合いましょう。それが、私たちの身体が本来持つ、内と外、双方の菌への免疫力を優しく高めることにもつながるのです。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

[戻る]  /  イキイキ生活通信読み物一覧へ