自律神経は、私たちが無意識のうちに行っている体の機能、例えば体温調節、消化、心拍数などを司る重要な神経系です。
この神経系はストレスを受けるとバランスが崩れやすく、特に冬の暗く寒い環境は、この不調を悪化させてうつ状態を引き起こしやすくなります。
冬に自律神経のバランスが乱れがちなことを考えると、栄養素の役割が非常に重要です。ビタミンB群はストレス耐性を高め、自律神経の機能維持に役立つとされています。
また、マグネシウムは神経のリラクゼーションに不可欠で、不足するとイライラや睡眠の質の低下を招くことがあります。
さらに、冬によく使う食材の持つ働きも見過ごせません。例えばショウガは血流を改善し、体を温める効果があります。これは、冷えが自律神経のバランスを崩す大きな原因となるため、これらを毎日の食事に取り入れることは、冬季うつの予防に効果的です。
毎日の食事を通してこれらの栄養素や食材を工夫して摂ることは、自律神経のバランスを整え、心身共に健康な冬を送る助けになることでしょう。
実は冬季うつは季節性気分障害(SAD)という医学的な診断名としても知られていま す。研究によると、低栄養価の食事に加えて、炭水化物の過剰摂取もSADリスクを高めることが示されています。
パン、麺、甘いお菓子などの炭水化物は一時的に気分を高揚させることがありますが、これらが血糖値の急降下を引き起こし、結果的に気分の落ち込みを頻繁に引き起こします。そこに、自律神経のバランス調整に必要な栄養素が不足することで、うつ状態が悪化する可能性があるのです。
冬の日照時間が短くなると、私たちの体はビタミンDや「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの生成が不足しがちになり、これが気分が沈みやすい状態の一因となります。特にセロトニンは、トリプトファンなどの栄養素の摂取だけでなく、穏やかな運動によっても生成されます。
ですので、心を落ち着かせるヨガや朝の体操などの運動も、SADに対しては効果的です。
そのため運動後に、冬季うつ予防に役立つ栄養素を含む食品を摂ることは、気分をさらに明るく保つのに役立ちます。冬季うつレシピの食事と運動と組み合わせは、冬季うつを乗り越えるための強力なサポートになるでしょう。
▼オメガ3脂肪酸 / 青魚・亜麻仁油
心の健康を保つのに重要で、特に魚油に多く含まれています。冬季うつで現れる症状を和らげることが示されています。
▼ビタミンD / 卵黄・しいたけ
日光で体内生成されるビタミンDを食材から補給することで冬季うつの予防に。
▼マグネシウム / ナッツ・ひじき
神経系を落ち着かせ、良い睡眠を促進する効果があるミネラル。
▼トリプトファン / 納豆・サバ
幸せホルモン・セロトニンの前駆体として知られ、心地よい睡眠と心のリラックスに。
▼ビタミンB群 / 春菊・ほうれん草 緑黄色野菜の持つビタミンB6は、エネルギーの代謝と神経系の機能、免疫強化に不可欠。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
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