健康コラム
Healthcare Column.

自律神経とホルモンバランス

冬に敏感になる女性の自律神経

冬の到来は、厳しい寒さや日照時間の短さなどの環境的変化をもたらします。
特に女性は、月経や妊娠、更年期といった女性特有の生理的変動により、これらの変化に敏感に反応することが多いため、冬に体調の乱れを感じやすいとされています。

脳から全身に影響を及ぼす「自律神経」は、交感神経と副交感神経の2つで構成されていますが、冬の環境的ストレスによって、このバランスが乱れることがあります。

特に副交感神経は「リラックスや回復をサポートする神経」として知られ、その機能が低下すると、睡眠の質の悪化、消化のトラブル、慢性疲労などの問題を引き起こします。これが続くと心のリラックスが難しくなり、心身が継続的に緊張し続ける悪循環に陥ります。
このような状態を改善するためには、ホルモンバランスの維持が鍵となります。その役割を理解することは、冬を快適に過ごす助けとなるでしょう。

自律神経によるホルモンバランスの乱れで起こる症状

◆ 睡眠不足と頭痛

睡眠は、ホルモンバランスを整える上で非常に重要な要素となります。
特に、成長ホルモンやメラトニンは夜間に分泌されるため、質の良い睡眠が欠かせません。また、睡眠不足が続くとコルチゾル(ストレスホルモン)の分泌が増加し、その結果、頭痛などの症状が現れることがあります。そして、自律神経のバランスが乱れると、更に睡眠の質が低下し、悪循環に陥る可能性が高まります。

◆ 炭水化物の過食

冬の寒さと日照時間の短さは、食習慣に影響をもたらします。
日照が短くなると、気分を安定させる「幸福ホルモン」として知られるセロトニンの生成が減少。セロトニン生成のためのアミノ酸、トリプトファンの吸収を助ける炭水化物への欲求が高まります。冬の寒さで交感神経が優勢となり、体温維持のエネルギーとしての炭水化物を欲し、食欲が増すことで摂取過剰に陥りやすくなります。

◆ イライラや焦燥感

冬に女性がイライラしやすい理由の一つは、日照時間の短縮により気分安定セロトニンの分泌が減少することです。この減少は、感情の不安定さや満たされない気持ちを引き起こしやすくします。さらに、女性ホルモンのバランスの変動からくるPMS(月経前症候群)も冬に増える傾向があります。これらが複合的に作用し、イライラが増える要因となります。

ストレスは「ホルモン分泌」の大敵!

自律神経とホルモンは、相互に深く関連し、影響を及ぼし合っています。例えば、冬の環境的なストレスで交感神経が過剰に活動すると、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が減少するとされています。
メラトニンは「睡眠ホルモン」ともよばれ、私たちの睡眠~覚醒サイクルや体内時計の調節に不可欠な役割を担っています。特に気になるのは、この体内時計が乱れてしまうことです。

その結果、睡眠障害はもちろんのこと、成長ホルモンやインスリンといった他の重要なホルモンの分泌も低下します。そして、単なる疲労感だけでなく、脳や消化器官の不調を引き起こし、さらに免疫機能の低下も招いてしまいます。

冬に増えやすいPMS。リラックスが最大の改善策

女性は年間を通して、月経に伴う不調、特に「月経前症候群(PМS)」に悩むことが多いでしょう。PМSは、月経が始まる3~10日前に現れるむくみ、乳房の張り、イライラ、気分の落ち込みなどの症状を指します。これらの症状は、月経が始まると一般的に軽減されます。

冬には、PМSの症状が悪化することが知られています。その主な原因は、冬の環境変化やホルモンバランスの乱れです。特に、女性ホルモン「プロゲステロン」の変動がPМSの主要な原因とされ、冬特有の環境ストレスがこれを悪化させる可能性があります。
さらに、年末年始の食生活の変化も女性ホルモンのバランスを乱す要因となります。

これらの問題に対しては、ストレスホルモンの分泌を抑えるアプローチが効果的です。適度な運動、バランスの良い食事、スキンケアなどが重要で、これらは心身をリラックスさせ、ホルモン分泌を正常に保つ助けとなります。
冬に調子が悪い方は、自律神経やホルモンバランスに着目し、生活習慣を見直してみることをおすすめします。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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