健康コラム
Healthcare Column.

更年期と免疫~変化する体をしっかりサポートする方法~

更年期障害と免疫細胞の関係性

年齢が上がるにつれて、誰もが健康に対する関心が高まります。特に、40代後半から60代の更年期に差し掛かると、心と体のバランスが乱れやすくなり、お悩みの方も多いと思います。
「何だか調子が悪いな…」と病院に行っても、多くの場合、具体的な治療法は明示されず、「更年期障害」という診断だけで終わることも珍しくありません。

これまで、そういった更年期障害の原因は性ホルモン(エストロゲン・テストステロン)の減少にあるとされていました。しかし、単にホルモンの分泌不足で更年期障害の全ての症状を説明できない場合も多く、様々な治療法が模索中です。そして最近の研究に、この更年期特有の健康問題に「免疫力」が大いに関わっていることが明らかになっています。

特に、女性は更年期、体調だけでなく心のバランスも大きく崩れやすくなるのですが、これも免疫が関係していることがわかると対処法も見えてきます。
今、更年期の健康管理において「免疫ケア」が重要視されているのです。

更年期障害が深刻になるのはエストロゲン不足の影響

女性ホルモンとしてよく知られているエストロゲンは、主に生殖機能、骨の健康、そして肌の保湿に影響を与えます。このホルモンが不足すると、一般的には肌の乾燥やたるみが引き起こされるとされています。 しかし、最新の研究によると、エストロゲン不足はT細胞やB細胞といった、体を守るための重要な免疫細胞の働きも低下させることが明らかになっています。

それらのエストロゲンと関連する免疫細胞は、傷ついた細胞の修復や新しい細胞の生成など、健康と若さを維持するための機能を持つものばかりです。さらに問題なのは、免疫細胞の働きが低下すると更年期に感じやすい「環境要因ストレス」に耐性ができにくくなる点です。

現在、エストロゲンの不足に対する治療方法としては、ホルモン補充療法などの医療的な選択肢もあります。しかしこの方法には副作用があり、根本的な解決は期待できません。生活習慣を含めた多角的なアプローチでエストロゲンの減少を自然に抑制し、免疫を高めることが一番の対処法と言えます。

免疫を高めてホルモン分泌も促す、おすすめ生活習慣

●食事には、たんぱく質と抗酸化食品を
大豆や豆腐、味噌などに含まれるイソフラボンは、エストロゲンと似た働きを持ちます。それに体内の活性酸素を除去する抗酸化食品(ベリー、乳酸菌など)を組み合わせると、更年期に弱る免疫を効率的に活性化させます。

●週2~3回の定期的な有酸素運動
有酸素運動は一般的にホルモンバランスを良くするとされ、さらに筋肉をつけることで、エストロゲンの分泌も促されます。毎日でなくとも週2~3回の有酸素運動(水泳やウォーキング)でも、十分効果的です。

●睡眠前、とにかくリラックスし深く眠る工夫をする
寝る前に深呼吸をしたり瞑想をしたり、音楽を聴くなどして、心を落ち着かせる時間を作りましょう。すると体内のコルチゾールレベル(ストレス反応)を下がり、エストロゲン分泌を促す深い眠りへと導きます。

●薬にはあまり頼らず自然な方法で対処
肝機能に負荷をかける一部の薬は、エストロゲンの分泌に影響を与える可能性があります。ステロイドや抗精神薬など、副作用として体重増加を引き起こしやすい薬は、エストロゲンのバランスを崩しやすいのです。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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