みなさんは、がん細胞がなぜ増えるのかご存知ですか?健康な細胞とがん細胞では、エネルギー生成の方法が異なります。健康な細胞は酸素を用いてエネルギーを効率よく生み出すのに対し、がん細胞は酸素を使わず、代わりに糖分から積極的にエネルギーを生成します。
この現象は「ワールブルク効果」と呼ばれ、既に50年以上前から知られていましたが、その当時は糖質の過剰摂取が少なかったため、医学界で大きな注目を集めることはありませんでした。
糖質(炭水化物)は、私たちが日々の活動を行うために不可欠な栄養素です。適度な量の糖質を含むバランスの良い食事は、体全体の健康を維持し、がんのリスクを低減する重要な要素であることは確かです。
しかし、現代の食生活では、多くの場合、過剰に糖質を摂取してしまいます。甘いお菓子や清涼飲料水、その摂取量は、さまざまな健康リスクを引き起こすほど多いと言っても過言ではありません。
そして、糖質に起因するこれらの健康リスクの中でも最も深刻なものが「がん」です。特に糖質の過剰摂取は、肝臓、大腸、乳房、前立腺といった部位のがんのリスクを大幅に高めると指摘されています。
また、過剰な糖質摂取は肥満を引き起こし、これが体内で慢性的な炎症の原因となります。この炎症が続くと、体内の細胞が持つDNAに損傷を与え、正常な細胞ががん細胞へと変化するリスクが高まってしまうのです。
過剰な糖質摂取が、がんになりやすい体質を作り出すと考えられれば、糖質は日々注意して摂取すべき栄養素であることに疑いはありません。
現代社会に生きる私たちは、避けられない形で様々な有害物質、一般に「毒素」と呼ばれるものと、日々接しています。これらは食品だけでなく、目には見えない空気や水などからも体内に取り込まれます。これらの毒素が蓄積されると、糖質と同様にDNAの損傷や変異を引き起こして、がん細胞の発生を促進してしまう可能性があるのです。
また近年の化学分析技術の進歩により、これまで何気なく口にしていた食品や洗剤、コスメ製品などからも、新たながんリスクが発見されることがあります。
がんという難敵から身を守るためには、糖質過多に気をつけるだけでなく、体内環境を浄化するデトックスも考慮する必要があります。
デトックスとは、体内に蓄積した有害物質を排出するプロセスのことです。運動による代謝の促進(汗をかく)は特に有名なデトックス法ですが、デトックスを助ける食品を日常的に摂取することも、身体の自然な防御システムを強化する手段となります。
例えば、海藻サラダ・全粒粉パン・きんぴらゴボウ・切り干し大根・もち麦入りおにぎりなどは、コンビニでも手軽に手に入る食物繊維豊富な食品です。これらは有害物質の排出を助け、さらに腸内環境を整えてくれます。
そして過剰な糖質摂取は、腸内の悪玉菌を増やし、体が本来持つこの大切なデトックス力を低下させる悪循環を引き起こすことがあるのです。
糖質の取り過ぎに気をつけることはがん予防だけでなく全般的な健康維持にも役立ちます。この機会に、自身の食生活を見直してみてはいかがでしょうか?
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。
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