健康コラム
Healthcare Column.

乗り越えよう!「五月病」と「六月病」

ストレスの増大は今や世界的な傾向です。

五月病や六月病が改善せず、長期化すると精神科では「適応障害」と診断されます。環境に適応できない心身の変調を総称する病気で、原因となるストレス環境から離れないと治りにくいことで知られています。その適応障害が増えている要因として考えられているのが、新型コロナウイルスの影響です。

コロナ以来、世界的な経済不安により、働く人のストレスが増大しています。しかし、社会全体が働く人のメンタルケアに手が回っておらず、日本よりも一足先に社会活動を元に戻した欧米では、昨年「九月病(海外では九月が新年度)」や、クリスマス休暇明けの「ジャヌアリーブルー」になる人が急増したそうです。

ストレス過剰が原因で「六月病」が急増している

「五月病」とは、新しい環境や新しい職場で働き始めた人が、GW明けにやる気が低下したり、体調不良を起こしたりする現象のことを指します。これは、新しい環境に適応する段階で起こる一時的なもので、六月に入ると回復することが多いとされてきました。

しかし現在、企業のメンタルヘルスの世界では、「六月病」という言葉が広がっています。この症状は、新しい環境に慣れる「五月病」とは異なり、長期的な環境変化によって引き起こされます。たとえば、人事異動によってチームのメンバーが入れ替わったり、業務内容が大幅に変更されたりするなど、一度慣れた環境で上手くいかないことが原因です。

責任感が強く自己不信に陥りやすい真面目な人に発症しやすいのはどちらも同じですが、六月病に関しては、新人ではなくベテラン社員に多く現れており、克服のきっかけを見つけることができず、慢性化する方が多いそうです。

「適応障害」に陥らないためには、まずは「五月病」と「六月病」の兆候に自分自身で気づくことが大切です。特に、いつも心身に鞭を打って走り続けてしまう人は、「このくらいなら大丈夫。もっと頑張らないと」と自分を追い込んでしまいがちです。すると無理がきかず、本格的に心が病んでしまいます。

その場しのぎのケア法は悪影響を起こすことも

五月病と六月病が適応障害へと深刻化してしまう理由は幾つかあります。その中でも一番の原因は、長期にわたるストレスの蓄積と過剰反応です。 人はストレスを感じると、交感神経が刺激され、ストレスホルモンが分泌されます。それが長期化してしまうと、今まで耐えられたことでも過剰に感じて、適応障害に進行してしまいます。そうなると社会生活に支障が出てしまうので、ストレスを感じたら、早めに適切なセルフケアを行いましょう。

ただし、ストレスを解消するために、甘いものを食べたり、お酒を飲んだりするのはおすすめできません。糖質を過剰に摂取すると、血糖値が急激に上がって、一時的に気分が良くなるかもしれませんが、すぐに血糖値が急激に下がります。その際、不安やイライラ、疲労感などのストレス症状が現れてしまいます。

また、糖質の過剰摂取は、心に幸福感をもたらすホルモンである「セロトニン」を産生する腸内細菌群を乱す原因となり、心のバランスがより崩れやすくなります。結果的に、長期的なストレス耐性が低下してしまう可能性があるため、ストレスを感じた際の暴飲暴食は避けましょう。

五月病・六月病の効果的なケア方法は?

五月病や六月病を防ぐためには、ストレスの原因を取り除くのが一番ですが、実際には難しいこともあります。そんなときは、ストレスに負けないために、心の余裕を持つための環境を自らつくることが大切です。つらい時に心を落ち着かせる方法をご紹介します。

◆ 自分なりの“お守り”をつくる
気持ちが和らぐ「ちょっとしたこと」を見つけましょう。空を眺めること、好きな音楽を聴くこと、お気に入りのお菓子を食べることなど、自分を労わるための「息抜き法」ならどんなことでもOKですので、考えてみましょう。
こうした方法を持っていると、ストレスに対処する力が高まります。これは、「コーピング」と呼ばれるストレスへの対処法で、企業でのストレスマネジメントに広く活用されています。

◆ 家族や友人など自分が好きな人と話す
安心できる人と話すことは、心のケアに非常に効果的です。自分を支えてくれるものは、会社(仕事)だけでなく、家族や友人、趣味など、さまざまなものがあります。これらの“柱”を多く持つことで、より安定した状態を保つことができます。
ただし、柱が一つだと揺らいだときに不安定になってしまうため、複数の柱を持つことが重要です。柱という言葉を“居場所”と置き換えることもできますので、ぜひ様々な人との会話を楽しみましょう。

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※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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