脳の下垂体から分泌されるホルモンの一つである成長ホルモン。 「成長」という名前がついていますが、子どもの発達のためだけでなく一生にわたって代謝調節、老化予防に役立つことがわかっています。
ホルモンとは、体内でつくられ、生きる上で必要なさまざまな機能をコントロールする情報伝達物質です。その種類は100以上あり、中でも成長ホルモンは、子どもの成長期に骨に働きかけ身長を伸ばしたり、傷ついた組織を素早く修復したりするものとされてきました。
しかし現在、成長ホルモンは、大人になっても免疫や認知機能に大きくかかわることが分かり、その重要度に注目が集まっています。
成長ホルモンの不足は生活習慣病の発症や、肌の老化を促すといわれています。つまり成長ホルモンとは、子どもから大人まで、あらゆる年齢の人の体内で分泌させ続ける必要があるものなのです。
成長ホルモンの分泌量は、思春期前の値を100%とすると思春期後はその倍の200%を超えるほど大幅にアップします。この若いころの分泌は、遺伝的要因が強く出るため、たとえば両親も背が高い人は、その体質を受け継いで、分泌量がより多くなる傾向にあります。
成人後の分泌量は、30~40歳台では50%、60歳では30%程に減り、それに伴い成長ホルモンは骨を伸ばす役割から代謝を促進する役割にかわります。
また成長ホルモンは、年齢を重ねるほど何らかの原因で分泌量が低下したり、逆に増えたりする場合があります。特に分泌を司る脳の下垂体に問題が起こると、成長ホルモンの分泌低下に直結します。
成長ホルモンの分泌が滞ると、身体機能だけでなく、精神面にもさまざまな影響が与えることがわかってきています。典型的な例では、成長ホルモンが長期に不足することで、脳が疲労を慢性的に感じ、活気や活動性が乏しくなり、不安感やうつ傾向が高まる可能性が指摘されています。
成長ホルモンの異常が原因のうつかどうかを見極める場合は、すぐ皮下出血する、風邪が治りにくいなどの免疫低下が判断の材料となります。そういったうつは成長ホルモンを補給することで、著しく改善されるという報告もあり、メンタルケアを目的として積極的な成長ホルモン分泌に取り組む人が増えているそうです。
睡眠には、脳の休憩のほかに「身体のメンテナンス」という重要な役割があります。ここでいうメンテナンスとは細胞の再生のこと。成長ホルモンには、睡眠中、古い免疫細胞を新しい免疫細胞に再生する働きがあり、体調を崩した際、とにかく眠るのを促されるのはこの再生機能を高めるためでもあります。
しかし質の悪い睡眠を日々繰り返していると、成長ホルモンが十分に分泌されなくなり、それが免疫細胞の減少につながります。睡眠不足は疲労感が増し、肌が荒れる原因にもなり、また高齢なほど早寝早起きになるのは、減り続ける成長ホルモンをなんとか分泌させようと身体が頑張っているからなのです。
成長ホルモンが最も分泌されるのは「就寝中に訪れる最初の深い眠り」の時。ゆっくりと安心して寝てから約1~2時間後の間に分泌されますので、日々、睡眠環境を整えることは成長ホルモンの分泌、免疫アップに直結することになります。
・軽い筋トレ
筋トレ(無酸素運動)を行うことで発生する乳酸は、脳を刺激し成長ホルモンの分泌を促します。
・間食を控える
成長ホルモンは「空腹時」にも分泌されやすい特徴があります。空腹時に胃や腸などから分泌される「グレリン」という物質が、強力に成長ホルモンの分泌を促進します。食後、最低2~3時間は食べ物の摂取は控えるとよいでしょう。
・サプリメント
プラセンタサプリの併用もおすすめです。プラセンタは胎児を成長させる栄養そのもので、成長ホルモンの分泌を促すアミノ酸やたんぱく質の塊です。あなたの成長ホルモン不足を補います。
※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を再載しております。
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